────会場に帰ると、佐伯部長の席だけが空いていた。虚しさ、悔しさ、後悔。色んな感情が押し寄せて、引いていく。
納得した部分と納得しきれていない複雑な気分のまま、宴会がはじまっていた。
ゼンは、新郎の席からユカリさんの隣(新郎のお父さんの席)に移動してきていた。
「もう! ゼン所長は私のことまで騙すつもりだったんですか!」
既に日本酒の一升瓶の半分が消費されている。
この短時間で相当だぞ?
「だって、ユカリにはクソ親父のマークがついてたからしょうがなかったんだよ! ノーマークの淳一しか手がなかったんだよ。親父も、まさかこんな奴に助け求めるなんて思わなかっただろうし」
「て、オイ! こんな奴て、何だよ!
こんな奴にこんな奴言われたくねーし!」
「こんな奴にこんな奴て、言われたくねーしとか、言われたくねーし!」
「こんな奴にこんな奴て、言われたくねーしとか、言われたくねーしとか、言われたくねーし!」
「こんな奴にこんな奴て、言われたくねーしとか、言われたくねーしとか、言われたくねーしとか……」
「いい加減にしなさい! 二人とも! 何よ、二人してイチャイチャイチャイチャしてるんだからー」
「してない!」
「してません!」
「ゼンなんか、さっきまで泣きそうな顔してたくせに!」
「はあ? 淳一なんか心配でオロオロした迷子の子猫ちゃんみたいだったじゃねーかよ!」



