「煩い! おまえ見てると、余計に腹がたつんだよ! 所長代理になって浮かれやがって! 佐伯建設にいた時より、仕事も楽でいい給料もらってんだろ!」
「佐伯部長……」
この人は、いつも大人だと思ってた。
広い海みたいな心持ってるて勝手に決めつけてきた。
「佐伯建設は、あの詐欺師がフィーチャネス証券を潰したことで倒産したんだ。恨んで当然だろ? こんな宛職で満足できるはずがない」
「でも、佐伯部長は俺たちを助けてくれたじゃないですか!」
前回の事件の時だって、エレベーターに閉じ込められた愛人を助け出してくれたし、今回だって……
「アイツを油断させる為に決まってるだろ。フィーチャネスの元社員はゼンを恨んでる奴が多い。タカシも、その一人だ。今回は警備と見回りを任されたおかげで、好き勝手にビルに爆薬を仕掛けられたんだよ。そんなことも分からないのか?」



