俺が知っている佐伯部長は、頼り甲斐があって、男らしくて、尊敬できる人間だ。 間違っても人を脅すような人じゃない。 「ああ、助かったよ……佐伯部長」 「そんな呼び方、もうしなくていい。金の受け渡しは後程指定する。警察に連絡すれば……直ちにドカンだ。わかったな?」 佐伯部長は、鋭くゼンを睨みつけた。 そしてシャンパンを飲み干すと「何が披露宴だ……詐欺師が」と悪態ついて出口に向かう。 俺は急いで佐伯部長を追いかけた。 「淳一くん!」 ユカリさんに止められたけど、追わずにいられなかった。