「香月グループとは、今後も良いお付き合いを続けていきたい」
ゼンが目を細めた。会場はシンと静まった。
「だ……騙された……藍莉を使うなんて卑怯だ」
「いえ、金の亡者のあなたが生活費工面して日本に呼ぶ程可愛がっている娘なら利用価値があると思いましてね。今回はただの警告です」
藍莉が驚いたようにゼンの横顔を睨みつけた。
「あんた、最低!」
新婦の席を立つと、香月社長のもとに駆け寄る。
「パパ!」
藍莉が髭面親父に抱きつくと、香月峻も複雑な表情を見せた。
「藍莉、ごめんな……」
なんだ、アイツ。ちゃんと大切にされてるじゃん。
香月峻が藍莉の肩に手を置く。それは、どこからどう見ても一つの家族だった。



