「今回の国道建設の公共事業は、おまえの会社が入札しただろ! それで、独占しているなんて言われたくない!」
「そうでしたね。でも、入札前からコウヅキ不動産ホールディングスは、さも自分の会社が入札したかのように建設資材を受注していたとこが気になっているんですよ……それにうちが入札したら、突然トミックカラーズとかいう会社から妨害されて、困ったものです」
「ううっ」藍莉の親父がしり込みした。
「そんなこと今ここで話さなくてもいいだろ!」
香月峻は顔を真っ赤にさせて、ゼンを指さす。
「この男は間違っている!」
だけど、生憎そんな事を思う人間はここにはいない。
皆、ゼンを信じて此処にいる。俺だってそうだ。



