Tricksters2ッ


 佐藤ちゃんは、無表情に恭しく“びっくりっぱこ”を掲げてテーブルの上に音をたてずに置いた。


「うわー、これがびっくりっぱこ!」藍莉は、手を叩いて喜んだ。


「私は、これにて失礼いたします」

「え、待ってよ佐藤ちゃん。よかったら一緒に紙コップに入った薄いインスタントコーヒー飲まない?」


 小声で必死に懇願する。なんか嫌な予感するんだよ。頼むから! 藍莉とこれ以上、二人きりになりたくない。



「む り で す!
 所長とユカリさんが消えたので、私は普段の職務の三割り増しの忙しさです。所長代理と違って忙しいです。


 失礼します」


 グレーのリクルートスーツ姿の佐藤ちゃん。くるりとターンをすると面接を終えた人のように退室した。


 自分で藍莉が怪しいとか言っといて俺に丸投げかよ!


 ああ、李花何してるかな? 李花に会いたい。李花に会いたい。李花李花李花李花李花……