「あの頃、楽しかったなぁ。時間は好きなだけあった……ここに書いてあるノビルとかは未だに見つけると、ついつい採って自宅で食べるんだ。玉ねぎの小さいやつ知ってるだろ? 味噌つけて食べると最高。春になればタンポポでサラダを作るし、ナズナやツクシも……」
「画多社長、時間ない。その話また今度でいいか?」
「ああ、そうだった」
ナイス突っ込み、ゼン。おまえ、ボケ担当だけじゃないんだな? 見直したぜ。
「あと、着替えも貸してくれ」
「いいよ。ゼン所長の頼みなら何でも聞いてやる。俺に貸しつくるとどうなるか知ってるよな?」
画多社長の人の良さそうなたれ目が、少しキツくなる。
「いいのかよ……ゼン」
なんかこの人、敵が味方かよくわかんねー。
道草食べながら生活して、こんな大企業の社長になった男だ。そりゃ、映画にもなるよな。



