Tricksters2ッ



 信号が青に変わると、ゼンはスルリと俺から離れた。



「あのさ、淳一……」


「なに?」



 車は広い三車線の環状道路に出た。



「無言になるのとか、止めてくれない? 俺、セックスは女としかしないし、変に意識されっと困るんだけど……」



  
 徳田善太郎。

 コイツは、色んなことが未知数だ。



 頭の回転もいい。

 俺の車に気をつかってるのか、今日の運転はまあまあだ。


 だけど─────



 だけど───────





 心底ムカつく!




「誰がテメーなんか意識するか! ボケナス! 俺だって、李花以外やらねぇーし! やらせねぇーし!」


「ボケナスって、俺に言ってんのかよ!」


「おまえに言ってんだよ! ボケナス! ボケナス! ボケナス!」


「なっ? じゅんちゃんヒドい!」


「ヒドいのは、テメーの脳味噌だっ!」


「うわぁ! 今、殴った!」



 車は大きく蛇行しながら、シャパネットガタガタ本社ビルへと入っていった。