信号が青に変わると、ゼンはスルリと俺から離れた。
「あのさ、淳一……」
「なに?」
車は広い三車線の環状道路に出た。
「無言になるのとか、止めてくれない? 俺、セックスは女としかしないし、変に意識されっと困るんだけど……」
徳田善太郎。
コイツは、色んなことが未知数だ。
頭の回転もいい。
俺の車に気をつかってるのか、今日の運転はまあまあだ。
だけど─────
だけど───────
心底ムカつく!
「誰がテメーなんか意識するか! ボケナス! 俺だって、李花以外やらねぇーし! やらせねぇーし!」
「ボケナスって、俺に言ってんのかよ!」
「おまえに言ってんだよ! ボケナス! ボケナス! ボケナス!」
「なっ? じゅんちゃんヒドい!」
「ヒドいのは、テメーの脳味噌だっ!」
「うわぁ! 今、殴った!」
車は大きく蛇行しながら、シャパネットガタガタ本社ビルへと入っていった。



