Tricksters2ッ



「俺に信じる価値なんてない。実の親であの様だ」


「それでも信じる。皆信じてると思うぞ。あの親父はどうだか、俺にはわからないけど」



俺が信じてやらなきゃ……

ってか、信じなきゃやってらんねー。


「淳一……」

「なんだよ……」




 車はパーキングを飛び出し警察署と逆方向の道を縫うように進む。



「マジで? 一回抱いていい?」


「前言撤回! なんで、俺がテメーに抱かれなきゃならなねーんだよっ!

 真面目に話てんのに、マジムカつく!」



「やべ……、じゅんちゃんに惚れちゃたかも。涙で前が見えないー」


「いやいや、おまえ、全然泣いてないし」


「心の中の清らかな涙が、滝のように流れてるんだよ!」



「あー、そうですかー!」



 なんか、言って損したぜ。後部座席から助手席に移動してシートを少し倒した。

 車は赤信号で乱暴に停車した。東京の街中はウザいくらいに信号がある。