「俺に信じる価値なんてない。実の親であの様だ」
「それでも信じる。皆信じてると思うぞ。あの親父はどうだか、俺にはわからないけど」
俺が信じてやらなきゃ……
ってか、信じなきゃやってらんねー。
「淳一……」
「なんだよ……」
車はパーキングを飛び出し警察署と逆方向の道を縫うように進む。
「マジで? 一回抱いていい?」
「前言撤回! なんで、俺がテメーに抱かれなきゃならなねーんだよっ!
真面目に話てんのに、マジムカつく!」
「やべ……、じゅんちゃんに惚れちゃたかも。涙で前が見えないー」
「いやいや、おまえ、全然泣いてないし」
「心の中の清らかな涙が、滝のように流れてるんだよ!」
「あー、そうですかー!」
なんか、言って損したぜ。後部座席から助手席に移動してシートを少し倒した。
車は赤信号で乱暴に停車した。東京の街中はウザいくらいに信号がある。



