Tricksters2ッ



「教えられない。俺の問題だ」


「いまさら何をカッコつけてんだよ! もう十分俺の問題でもある! 藍莉からも話は聞いたぞ。誰を騙そうとしてる? おまえは、誰を疑ってる?」


 ゼンが奥歯をギリっと噛み締めて俺を睨み付けてきた。


「いいから、鍵寄越せ!」


「嫌だって言ったら、嫌だー!」


 俺はパーカーのポケットに突っ込んどいた車の鍵を掴むと、ゼンの腕から逃れるように車の後ろに周り込む。



「ああっ、手錠外すんじゃなかった!」


「詐欺師ゼンの大誤算だな! おっと、アブねー」


「これ以上、淳一は巻き込みたくないっ!」


 ゼンの長い腕をかわして、車の影に隠れた。


「だから、いまさらだって言ってんだよ!」