「淳一、悪いけど無駄話は後でだ。今から二分以内にコレを署長室に置いて来い」
「無駄て……!」
「脱獄手伝って、ゴッシゴシネームに傷つけたくないだろ? オヤジさんの代わりに配達来たって言えよ」
ゼンから一回り小さくなったビニール袋を渡された。脱獄って?
「はやく行け! あと、一分四十三秒」
「お……おう」
署長室にダッシュした。ドアをノックする。
「はい」
「あ……クリーニング店ゴッシゴシですけど」
署長室の扉が開く。中から制服姿の中年の警官が顔を出す。
「ご苦労様。君は?」
「いつもオヤジがお世話になってます」
「おおっ! 息子さんかぁー! いや、ゴッシゴシさんもこんな立派な跡取りがいるなら安泰だな。ご両親を大切にな」



