「どうだ、うまく潜入できただろ。この時間は淳一のパパさんがたまに署長室にクリーニングした制服を届けに来る時間なんだよ」
ゼンが右側を指差したので、廊下の先を見ると『署長室』という部屋が見えた。
「ゴッシゴシマジックに感謝。それ寄越せ」
格子の隙間からクリーニングを渡した。
配達終了……で、いいのか? それだけ?
「洋服なんて檻の中じゃ、必要ないだろ? いつ頃、出てこれるんだ?」
「淳一、着替えるから見ちゃ嫌」
ぐっ……
コイツ……ムカつく。
俺は格子に背を向けた。
「ユカリさん泣いてたぞ……おまえがいないから」



