ばあちゃんが孫の手をまたピシャリと机に叩きつけて、俺たち三人は背筋がぴんと伸びた。
あの孫の手、竹でできているから凶器なんだよ。
しかも皺だらけの顔は表情読み取りつらいし、一つに結われた白髪のダンゴのせいで昔から目がつり上がって見える。
「淳一! おまえは、男のくせに女に囲まれてナヨナヨしてんじゃない! シャキッとせい! シャキッと!」
「ナヨナヨなんかしてねーし!」
「デカい声出すんじゃないよ!」
ばあちゃんが俺の倍デカい声を出した。
「話を整理すると、淳一はどっちの女と結婚するつもりなのかい?」
俺は迷わず李花を指差した。背後から藍莉が抱きついてきた。
罪のない孫の手が、しなりながら木の机に叩きつけられた。ミカンの皮と湯飲みに入ったお茶が飛び上がる。そして、元の位置に着地した。
「男のくせに! 年寄りの前で女とイチャイチャするんじゃないよ!」
「してねーよ! 藍莉が離れろ!」
「イヤよ! その女があっち行って、私の淳一どうするつもり?」
「私のって……じゅんちゃんっ!」
「違う! 余計な事言うな!」



