「あーもう! 離れろよ! 李花、コイツはゼンの婚約者で……うちのライバル会社の取締役!」 俺がアタフタと言い訳すると、みかんを食べ終えたばあちゃんが、孫の手でコタツ机をピピシャリと叩く。 「年寄りの前で騒ぐんじゃないよ!」 ばあちゃんのデカい声に俺たち三人はその場でビクリと硬直した。 「ばあーちゃん、俺は李花をばあちゃんに紹介しようと連れてきたんだよ! 李花と結婚するからな!」 ばあちゃんは、「李花と結婚?」と呟いて横目で李花を見た。 孫の手は握り締めたままだ。