Tricksters2ッ



「思ってるよ」


「そっか……」



 なんだかな、悩むよな。罵倒されて、この店つぶす気か! とか言われるならともかく。


 俺は前の会社が倒産しても、この店だけには頼らなかった。この母親じゃ『みっともないな! 他所で働くとこ見つけて来い!』って罵倒されるのわかってたし、俺の将来はこの店とは無縁だって思ってた。


 だけど、結婚とかを真剣に考え出した時、どうしてかこの店の事が心配になったりもしたんだ。




「ただ、ばあちゃんには早く報告したほうがいい」


「だ……だよな」


 それは、うちのばあちゃんのせいでもあるかもしれない。


 はっきり言って最強だ……



 ここから車で十分の距離に住んでいる。李花を会わせたことはない。

 物事をオブラートに包んで発言するということを知らないうえに、ザ・昭和初期というに相応しいばあちゃんだ。


 アメリカを未だに、敵って呼んでるし……


 俺に、ゴッシゴッシを継ぐように口うるさく言っていたのは、いつだってばあちゃんだけだ。




「李花ちゃんなら、大丈夫だよ」


「そうだけど、ばあちゃんのことだから何言い出すか心配なんだよ」