「思ってるよ」
「そっか……」
なんだかな、悩むよな。罵倒されて、この店つぶす気か! とか言われるならともかく。
俺は前の会社が倒産しても、この店だけには頼らなかった。この母親じゃ『みっともないな! 他所で働くとこ見つけて来い!』って罵倒されるのわかってたし、俺の将来はこの店とは無縁だって思ってた。
だけど、結婚とかを真剣に考え出した時、どうしてかこの店の事が心配になったりもしたんだ。
「ただ、ばあちゃんには早く報告したほうがいい」
「だ……だよな」
それは、うちのばあちゃんのせいでもあるかもしれない。
はっきり言って最強だ……
ここから車で十分の距離に住んでいる。李花を会わせたことはない。
物事をオブラートに包んで発言するということを知らないうえに、ザ・昭和初期というに相応しいばあちゃんだ。
アメリカを未だに、敵って呼んでるし……
俺に、ゴッシゴッシを継ぐように口うるさく言っていたのは、いつだってばあちゃんだけだ。
「李花ちゃんなら、大丈夫だよ」
「そうだけど、ばあちゃんのことだから何言い出すか心配なんだよ」



