「ただいまー!」 クリーニング店の手動ドアを開くと、ひよこの鳴き声みたいな音がする。来客を知らせるチャイムだ。 「オヤジ! オフクロ? いねーのかよ!」 店の中は機械の音と、洗濯糊の匂い。懐かしいな、本当に久々だ。 「淳一、デカい声だすんじゃないわよ! あんた、またお客様の駐車場使ったわね! 交差点先のコインパーキング停めなおしてきな! バカ息子!」 ひっかけてあるワイシャツの隙間からオフクロが飛び出してきてハンガーで俺を殴る。