「それが、本物だから」
市場に出回ることなく回収された“びっくりっぱこ”。ある意味世界で一つの本物だ。
李花は黙って頷いた。
「結婚しよう、李花」
李花は、もう一度黙って頷いた。目から涙をボロボロ流しながら何度も頷いた。
「突然すぎだよ! でも嬉しいよ……じゅんちゃん、ちゃんと考えてくれてたんだね……」
「当たり前だろ、その指輪はトリックスターズに就職してから買ったもんだけど、その前から李花との結婚は真剣に考えてた」
本当は、このゴタゴタが落ち着いてからプロポーズしたかった。
ゼンに背中押されたからってのもあるけど、これ以上李花に心配かけたくない。
「頼りないかもしれないけど、幸せにする。ってか、李花がいてくれれば俺が幸せだ。
指輪はめてみてくれないか?」



