「李花に、いや、あの、李花さんに会いに来ました。謝りたくて……」
『おまえに会わせる娘など、いない。大人しく帰……』
『じゅんちゃん!?』
「李花っ! 昨日は来れなくて悪かった。ちゃんと謝りに来た」
インターホンはまた沈黙。機械の向こう側では、俺にはわからないやり取りがされている。
すると、すぐに家の扉が開いて李花が飛び出してきた。
「じゅんちゃん!! 待ってたのに、もう来てくれないかと思ってたんだから!」
「ごめんな、ちょっとゴタゴタに巻き込まれてて……合コンなんて行って悪かった。別に浮気しようとか、そんなつもりは全然なかったけど、逆の立場だったら、俺もすげー嫌な思いするよな」
李花が俺に抱きつく。それを両手で受けとめた。
「うん……李花も信じてあげられなくてごめんね。じゅんちゃんのこと信じるって決めたのに、昨日一日すごい反省したんだ……」
「李花は何も悪くない。俺が悪かった……」
李花が顔をあげた。潤んだ瞳が、めちゃくちゃ可愛い。
良かった……。誤解はとけてたんだ……。
俺、アイツみたいに浮気したことないし、ずっと李花一途にいたからな。
「うちの娘から離れろ、詐欺師」
ですよねー? 誤解とかなきゃならないのは父親の方だ。
「お、お父さん」
「おまえに、お父さんなんて呼ばれたくない!」



