Tricksters2ッ



「李花に、いや、あの、李花さんに会いに来ました。謝りたくて……」


『おまえに会わせる娘など、いない。大人しく帰……』
『じゅんちゃん!?』


「李花っ! 昨日は来れなくて悪かった。ちゃんと謝りに来た」


 インターホンはまた沈黙。機械の向こう側では、俺にはわからないやり取りがされている。

 すると、すぐに家の扉が開いて李花が飛び出してきた。


「じゅんちゃん!! 待ってたのに、もう来てくれないかと思ってたんだから!」


「ごめんな、ちょっとゴタゴタに巻き込まれてて……合コンなんて行って悪かった。別に浮気しようとか、そんなつもりは全然なかったけど、逆の立場だったら、俺もすげー嫌な思いするよな」


 李花が俺に抱きつく。それを両手で受けとめた。


「うん……李花も信じてあげられなくてごめんね。じゅんちゃんのこと信じるって決めたのに、昨日一日すごい反省したんだ……」


「李花は何も悪くない。俺が悪かった……」


 李花が顔をあげた。潤んだ瞳が、めちゃくちゃ可愛い。

 良かった……。誤解はとけてたんだ……。


 俺、アイツみたいに浮気したことないし、ずっと李花一途にいたからな。


「うちの娘から離れろ、詐欺師」



 ですよねー? 誤解とかなきゃならないのは父親の方だ。


「お、お父さん」


「おまえに、お父さんなんて呼ばれたくない!」