Tricksters2ッ



────緊張するな。

 ネクタイを締め直して、李花の家のインターホンを押す。

 李花には、今から会いに行くとメールしたけど返事はなかった。



 ピンポーン……


 李花いるかな?


 広い庭の先にあるデカい家を覗き込む。オレンジ色のレンガ造りの家に俺は入れてもらったことがない。



『はい、どちら様でしょうか?』



 男の声がインターホンから聞こえた。



「真部淳一です」



 インターホンは沈黙した。

 この家の男って……李花の父親しかいない。相手は、あの武尊之銀行頭取だ。



『何しにきた、詐欺師』


 だよな……。俺、とことん怪しまれてる。