元気ないよな。ユカリさん。
ま、しょうがないか。だけど、アイツは本当にユカリさんをとことん振り回すよな。
「淳一くん」
「はい」
「善太郎がいないトリックスターズはつまらないわ」
「ユカリさんまで、そんなこと言わないでくださいよ! ミエちゃんもアイツが来ないから有給とって帰っちゃいましたよ」
「善太郎は『ヤミ金業者』の正体に気がついたのかもしれないわ……だとすると、相手は善太郎がいない隙に爆弾を仕掛けるかも」
「そ……それもそうですね……でも、奴等がそれを知ってるとしたら。逮捕した警察関係者か、内閣府の人間か、このトリックスターズに内通者がいるってことじゃないですか?」
「そういう事よ。善太郎は犯人がわかってる……淳一くん。私、誰を信じればいいかわからない」
「アイツだけを信じればいいですよ……」
ユカリさんは黙ったまま、窓の外を眺めた。



