佐伯部長が驚いた声をあげた。
「こんな肝心な時に……?」
「肝心な時?」
佐伯部長は口元を手で覆った。顔色があまりよくない。
「だって、ゼン所長の結婚式にこのビルが爆破されるって脅迫状がきたんだろ? この前も柱や天井裏に異常がないか調べたばかりだぞ。それに金は用意できてるのか?」
「わかりません……、でも爆破は避けないと……部長協力してくれますよね?」
「もちろんだ。爆発物がないかは毎日確認しているし、警備体制もばっちりだ」
出社する時もビルの外に、SECOI警備会社の警備員を何人か見てきた。
佐伯部長は絶対に味方してくれる。この人なら大丈夫。



