「で、アイツ逃げたけど、どーする?」


 頭をかいて両手をあげた。お手上げ状態ってやつだ。


 できれば、おまえも諦めてくれ。


「どーするじゃないよ……淳一が結婚させてくれるって言ったじゃん。嘘つき!」


 藍莉は、わざとらしく崩れ落ちるようにその場にうずくまる。

 困ったな。また鎖で縛りつけられちゃシャレになんないぞ。



「そーだ。いいもんやるよ」

 所長室の片隅に置いてあった、それを手に取ると藍莉の前に置いた。



「何、コレ?」

「生贄もっぷちゃん。これをアイツだと思って、とりあえず持って帰ってみようか?

 結婚おめでとう。末永くお幸せに」