「とりあえず、中に入ってください。チゲ鍋ができてます……」
佐藤ちゃんは、わざとらしいくらいガクリと肩を落とした。
「あの……ここ俺の部屋……」
なんてことは、今はどうでもいいんだ。
部屋に入るとチゲ鍋の美味そうな匂いがしていたけど、上海蟹を腹一杯食べてきたから食欲はわかなかった。
「つーか、ほとんど食ってあるじゃん」
「はい、二人がほとんど食べちゃいました」
「どーも」と頭を下げる販売促進部の男二人。
「あのさ、前から気になってたんだけど、お前たち本当の苗字なんなの?」
「鈴木です」
「高橋です」
どーだかなぁ……



