「ってことは、ゼンはわかっていて捕まった……って事か……」
「言われてみれば、そうだわ。彼があの人数の警官にあっさり捕まるなんて、おかしいもの」
「え、アイツただ弱いだけじゃ?」
ユカリさんは、ダイニングテーブルの下に四つん這いで入る。ベリっと、何かを剥がす音がしてユカリさんが出てきた。その手には細長いものを持っている。
「そ、それは?」
「淳一くん、知らないの? 善太郎は大学生の時にフェンシングの世界チャンピオンになってるのよ」
ヒュンと凄い音がしてフェンシングの剣が突き出された。
ア、アイツ! こんなもん食卓の下に隠し持ってんのかよー!



