「アイツは本気でユカリさんのこと好きだと思いますよ。アイツはユカリさんを信頼してるから、捕まったのかも……」



 アイツはあの親父に邪魔されて別れなきゃならない状態になった時、いつでもユカリさんを自由にしてやれるように覚悟してきた。

 そんなこと一言も言わないけど、毎日付き合ってれば嫌でもわかる。




 だから、差し迫った時、つい本音が出てきて詫びてからユカリさん本当の気持ちを伝えた。

 あの時のゼンは、見たことない必死な目をしてた。そうじゃなきゃ、あんなキスできねーよ。





「そんなの自分勝手すぎる……」


「それがアイツですよ……いつも自分勝手じゃないですか、ユカリさんも知ってるでしょ?」


 残念な事に、アイツは器用にみえて不器用なとこもある。

 優しすぎるのは俺よりアイツの方だ。


「そうよね……そうだけど…ゼンが何を考えてるかわからないわ」