「迷惑かけてごめんな、ユカリ。愛してる」 「……そんなのって」 ゼンはユカリさんを抱き寄せて、もう一度キスをする。 エロさとか、そんな野暮なこと問題じゃない。 そのキスは、本当に純粋に見事なキスだった。 「淳一、頼んだぞ」 ユカリさんは肩を押されて、俺の目の前に突き飛ばされた。 「善太郎! ダメよ!」 「確保だ!」 警官の一人が右手を振り上げた。男たちの緊張で空気がぴんと張り詰めた。