Tricksters2ッ


「お父様から? 強制猥褻罪じゃないのね……」


 ユカリさんが安堵したように椅子にもたれかかる。


 いやいや、安堵するところじゃなくないですか? ユカリさん。


 あの親父が、ゼンを捕まえに来たのか。なんでだろう?


「これ以上の好き勝手は許されないと……総理が……」


「はいはい、わかったよ。うるせーな。ちょっと待ってろ」




「ゼン……どうするつもりだ?」


「淳一、よく聞けよ? お前は李花ちゃんをちゃんと両親に紹介してやれ。彼女待ってるぞ、お前からのプロポーズを」


「な、なんで今そんな話を……?」




「いいから、黙って言うとおりにしろよ。それから、ユカリ」


 椅子にもたれたユカリさんの手をゼンが優しくひいた。ユカリさんが立ち上がると、肩に手を置いた。



 何をするんだろう?


「しばらく、トリックスターズを頼んだぞ」


「え? 善太郎が捕まるの?」


 ゼンは力なく笑った。



「俺を野放しにしとくと徳田家の不利益になると親父が判断した。これ以上の親不孝は気が引ける」



「善太郎は何も悪いことしてないわ……それに!」


 ゼンはユカリさんの後頭部に手を回して引き寄せる、そして自分の唇で彼女の唇を塞いだ。