「お父様から? 強制猥褻罪じゃないのね……」
ユカリさんが安堵したように椅子にもたれかかる。
いやいや、安堵するところじゃなくないですか? ユカリさん。
あの親父が、ゼンを捕まえに来たのか。なんでだろう?
「これ以上の好き勝手は許されないと……総理が……」
「はいはい、わかったよ。うるせーな。ちょっと待ってろ」
「ゼン……どうするつもりだ?」
「淳一、よく聞けよ? お前は李花ちゃんをちゃんと両親に紹介してやれ。彼女待ってるぞ、お前からのプロポーズを」
「な、なんで今そんな話を……?」
「いいから、黙って言うとおりにしろよ。それから、ユカリ」
椅子にもたれたユカリさんの手をゼンが優しくひいた。ユカリさんが立ち上がると、肩に手を置いた。
何をするんだろう?
「しばらく、トリックスターズを頼んだぞ」
「え? 善太郎が捕まるの?」
ゼンは力なく笑った。
「俺を野放しにしとくと徳田家の不利益になると親父が判断した。これ以上の親不孝は気が引ける」
「善太郎は何も悪いことしてないわ……それに!」
ゼンはユカリさんの後頭部に手を回して引き寄せる、そして自分の唇で彼女の唇を塞いだ。



