「はい、すみません……」


 ユカリさんに言われると、素直にそうしようと思う。だって、言ってることが全然間違ってないように聞こえるからだ。


 やっぱ、ゼンよりユカリさんが所長やった方がいいんじゃねーか?


 いつもそう思う。






 ガチャリと部屋のドアが開く音がした。


「善太郎、誰か呼んでるの?」


 ゼンは顔を窓の方に向けたまま、伏せ目で紹興酒を飲む。


 廊下を歩く足音がする。

 それも一人じゃない。


「ゼン! 誰か来たぞ?」


 誰だよ?
 嫌な予感全開だ!