「酷いわよ。李花ちゃんがいるのに合コン行って、香月藍莉まで? 淳一くん、まるで善太郎みたいだわ!」
ユカリさんはグビっと紹興酒を飲んだ。その外見に似つかわしくない男前さに、「うっ」と後込みした。
「またその話っすか……、俺マジで悪気ないのに……」
「淳一くんはね。自分のことよくわかってないのよ」
「自分のこと?」
「そう、淳一くんは優しすぎるのよ。無意識に色んな人に優しすぎるのよ」
ゼンは「そうかなぁ? 俺には酷いけど」と愚痴りながら頬杖をついた。夜景を見ながら見飽きたようにため息をつく。
「李花ちゃんは、そういうところも好きなのよ。だから、心配でも文句一つ言えないの。もっと大切にしてあげて、注意しなきゃダメよ」



