ユカリさんが俺の肩に手を置いた。


「淳一くん、聞くだけ無駄よ。生まれた時からこういう生活してるんだから」


「どんだけだよ……」



 コイツ、筋金入りのお坊ちゃまなんだな。だよな、総理大臣の息子だもんな。



「さあ、諸君! 上海蟹食べるカニ?」


 手を蟹みたいにチョキチョキさせる馬鹿な奴だけど、俺とは住む世界が違う。


 ああ、だから分かり合えないんだな。きっと一生分かり合えない。