「ユカリさん、話題そらしてすみません」
ユカリさんはシャンパングラス片手に話はじめた。
「もう、二人とも……いいわ。まず、単刀直入に言うと香月藍莉の母親は去年お亡くなりになっているわ。母親が亡くなり、父親に引き取られて日本にやってきたのよ」
ゼンは無言で頷いた。そ……そんなこと調べてきたのかよ? すげーな、探偵みたいだ。
探偵ユカリさんの話は続く。
「藍莉の母親は、上海ファンドマネージメントの再大手を運営する寵家の令嬢で、香月社長が上海に仕事で訪れた際に知り合い愛人にされてしまった。彼女はすぐに藍莉を身ごもった。産まれて来た子が女の子だとわかると、後継者が欲しかった寵家から追放されている。一人っ子政策のせいね」
「やっぱ、愛人の子だったか……」
「ええ、善太郎の言うとおり。だけど、彼女たち優雅な生活していたみたい。寵夫人は亡くなってしまったけど、彼女たち母娘に仕えていた家政婦から色々話を聞けたわ」



