「ワインでいいか?」

「お、おう」




 ワイングラスを持たされて、ゼンの真似して片手で回して香りを嗅いでみた。

 そうだよ、俺もこんなもん飲み慣れてますよって顔してればオッケーだろ?

白ワインだろ? これ白いから白ワインだろ?


「淳一、気になる人物はいるか?」


 会場を見渡す。俺の知ってる奴はいない。



「いない……。ドッキリッパコを発売した会社のパーチーに俺が知ってる奴がいるわけないだろ! 藍莉がいるなら話は別だけどな、アイツがアイデア盗んだんだろうし堂々とパーチーに参加するわけない」


「そうだな。でも俺は、ドッキリッパコのアイディアをこの会社に持ちかけた奴は香月藍莉ではないと思ってる」


「え?」



「タイミングが良すぎだ。香月藍莉が来た次の日に商品化なんて早すぎるだろ? 淳一も商品化の難しさ理解してると思っていたけどな。来い」