「言いがかりは、そっちだ」


 ゼンは不機嫌そうに床を蹴った。

 態度が子供だし! 変に容姿が整ってるから様になるけど、子供だし!


「わかったよ! 潜入なら話は別だ。ドレスは嫌だけどな」


「女装もできんとは、一人前の詐欺師になれないぞ」


「じゃ、オマエがやれよ!」


「俺? 一人前にならなくていいし。
でも、さっきの藍莉のまきかたは上手かったけどな」


「なんでテメーが知ってるんだよ!」


「ハハハ、詳し事は気にするな。とにかく時間がない、行くぞ」




 ゼンは機嫌良く店員を侍らせ、最初マジで婦人服売り場に入っていきやがったから、必要以上の体力使って、なんとか紳士服売り場でゼンみたいなタキシードを買ってもらった。

 ヘアサロンで毛先いじられて、正装完了。

 VIPの出入り口を出るとエンジンがかかったベンツが用意されていた。