「五十嵐さん」 「…………何?」 それは1限開始のチャイムが 鳴ったときだった。 「教科書、まだ届いていないから見せてくれる?」 「………ん」 渋々差し出した教科書。 「ありがとう」 そう言って、おもむろに 机を動かし始めた笠原。 …………は? 何してんのこのサタンは。 「いいよ。一人で見な」 女子の視線が、 痛くてウザいんだけど。