「なんだって? こいつが!?」

 男はひと通りの話を聞くと驚いた声を上げ、勇介をまじまじと見つめた。

 勇介自身でさえ未だに信じられないのだから、男の驚きは当然だろう。

 男の名は久住 将(くすみ つかさ)二十二歳、かなりの力を持っているらしい。

「でもなんだってそれを隠してるんだよ。オレたちにも話してくれればちゃんとバックアップするのに」

 その言葉に、デイトリアは品良く紅茶を傾けたあとティカップをテーブルに乗せた。

「少しでも情報の流出は避けたい」

「なんだよそれ、オレがべらべら話すと思ってんのか? それとも仲間が信用できないのかよ」

 彼が怒るのは当たり前だろう。

 しかし勇介は、そんな意味でデイが話さなかったんじゃないんだろうと考えていた。