「認めた覚えは無い」

 デイトリアはその手を振り解こうとするが、男はがっちりと掴まえていて容易にはほどくことができない。

 諦めたように短く溜息を吐くと、ゆっくり男の足下に視線を落とした。

「貴様」

 その目には怒りが宿っている。

 さすがの男もこれには少々たじろいだ。

「靴くらい脱げんのか。掃除がどれだけ大変だと思っている」

 ああ、そっちに意識が向くのね……。

 勇介はデイトリアの思考回路に苦笑いを浮かべた。

「掃除って──それじゃまるでこの家の掃除してるみたいじゃないか!」

 いや、掃除してくれてるよ。