勇介は酷く痛む頭を抱え体を起こし部屋を出る。

 デイトリアの「おはよう」という声に勇介はホッとして「おはよう」と返事を返した。

 しかし、疲れたように頭を抱えている勇介にデイトリアは怪訝な表情を浮かべる。

「どうした」

「ん、ああ。ちょっとね」

「あまり無理はするな」

 そんなひと言がなんだか嬉しい。

 ここのところ会社に行っても仕事に集中出来ていないのは、やはり現状に対する危機感のせいもあるのだろう。

 勇介は夢を思い出しペンダントを強く握りしめた。

 そこに玄関の呼び鈴が鳴る。

「はい」

 勇介が扉を開けると、男が仏頂面で立っていた。

 色素のがやや薄い髪に背丈は勇介と同じ百八十センチほどか。