「襲われたんでしょう? 探っていたら魔物どもが動いたようだから気になったの」

「ん、ああ。心配ないよ、君の想い人が強いから大丈夫」

 笑顔で返す勇介にエルミは怪訝な顔を向けた。

「想い人? 何のこと?」

「え? エルミの好きな人ってデイじゃないの?」

 その言葉に彼女は眉間のしわをさらに深くした。

「なに言ってるのよ、違うに決まってるでしょ。あの人は人間界にはほとんど出てこないわ。デイは人間として生活しているけど、あの人はそうじゃないの」

「あ、そうなんだ」

 聞いて勇介は内心ホッとした。

 彼女の想い人なら、やはりどこか警戒してしまう。

 本当の想い人が誰か気になる所だが、とりあえずはめでたしだ。

 護ってもらう相手に気が置けないのは正直つらいというか、悪い気がしていた。