勇介は彼女がデイトリアを信頼している理由がよく解った。

 あんな光景を見せられれば、さすがの勇介だって納得するしかない。

「これならエルミが好きになっても仕方がない」と勝手な思い込みで自分をなだめた。

 強さ、優雅さ全てにおいて二人は釣り合っている。

 俺なんかがどうひっくり返ったって敵う訳がない。

 誰の口からも彼女の想い人の名は出ていないというのに、勇介はそうしてエルミを諦めきろうとしていた。

 出ていないからこそ、勇介はデイトリアの事だと思っている。