そこには、何十匹もの得体の知れない生き物がうごめいていた。

 ひしめき合うように様々な姿形をした者たちの全ての視線はこちらに向けられている。

 勇介は恐怖でデイトリアに隠れるように体を縮こまらせた。

「デ、デイ……」

「彼らの目的は私だ」

 護り手を倒してゆっくり交渉するつもりなのか、勇介を魔界に連れて行く気なのか──どちらにしろ動き出した。

[キイイィィ!]

 一匹の魔物の叫びが合図のごとく、津波のように一斉に押し寄せてくる。

「──っ!?」

 勇介の目に、それはまるでスローモーション再生されたVTRのように映し出される──輝く二つの赤い宝石が数体の魔物を一瞬にして引き裂いた。

 魔物は目をカッと見開き断末魔の声を上げて転がる。