「『碧眼(へきがん)の黒豹』と呼ぶ者がいる。気に入っている訳ではない」

「へえ」

 黒豹? ああ、なるほど髪が黒いからか。

 なんとなく納得し、改めてデイトリアの姿を眺めた。

 不思議な雰囲気を持つ瞳に、しなやかな身体(からだ)は、いかにも「黒豹」と付けられそうな優雅さがある。

 かといって男ではどうにもならない、女だったらほっとかなかったかもなぁと小さく溜息を漏らした。