「そ、そういえばエルミは黒の女王っていう名前がついてるけど君はついてるのかい?」

 苦し紛れの質問だ。

 咄嗟に思いついたものがこれだった。しかもやはりエルミに被せている。

「私にはそういったものは無いな。ただ──」

「ただ?」

「人間が付けたものならある」

「へえ、どんな名前?」

 その問いかけにデイトリアは眉を寄せた。

「本当に聞きたいのか?」という表情で勇介を見つめる。

 その場しのぎに出した質問だが今更、引っ込めないし聞いてもみたいので勇介は相手の回答をじっと待つ。