「どれくらいの言葉を話せるの?」

「地球の言語はほぼ解している」

 勇介に視線を向けずに答える。

「はあっ!?」

 予想もしなかった返しに声が裏返った。

 エルミの想い人と決まった訳でもないのに妙な敗北感を覚える。

 人間じゃないのだから、もしかするとそれくらいは普通なのかもとは考えるが、どうにも力が抜けていく。

「そろそろ出なくて良いのか」

 ソファに背中を預けて動かなくなった勇介にデイトリアは怪訝な表情を浮かべる。

「行く気なくした。今日は休む」

 言い放ち、ネクタイを緩めた。