「夕飯まだなんだけど、いるかい?」

「そうだな、私が何か作ろう」

「えっ、作れるの?」

「これでも一人暮らしは長いのでね」

 そう言ってキッチンに足を向ける。

 冷蔵庫の中と調味料などをひと通り確認し小さく唸った。

「ビーフシチューにでもするか」

 そうして始まった男同士の料理に勇介は少しの虚しさを覚える。

 これがエルミだったら良かったのにと心底、思わずにはいられない。