「女と見まごう」という言葉があるけれど、そういう感じではなく神秘的な美しさを兼ね備えていると言った方が正しいのかもしれない。

「入ってもいいかね」

 抑揚のない声に勇介はたと我に返る。

「あ、ああごめん。どうぞ」

 男に見とれてしまった自分が少し悔しい。

「デイトリア、久しぶりね」

 彼女は男の姿を見ると、立ち上がって笑顔で迎える。

「ああ」

「ユウ、紹介するわ。彼はデイトリア、とても頼りになる人よ」

 紹介されたデイトリアと呼ばれた男は勇介に手を差し出した。

「よろしく」

 挨拶を終えた勇介は飲み物を入れるためにキッチンに足を進める。

 それを見つつ二人は向かい合わせでソファに腰掛けた。