「立木勇介?」

 良く通る男の声が勇介を確認するように発した。

 背中に流れる黒髪は艶やかで、まつげは長く全てを見通すような瞳はエルミの仲間らしく鮮やかに赤かった。

 百七十センチを少し超えている男の外見は二十五歳ほどだろうか。

 アクセントのように右側の前髪の一部は他の前髪よりやや長く、整った顔を際立たせている。

 日本人とは異なり欧米か欧州を思わせる不思議な面持ちだ。

 肌の色は白人と黄色人種の中間あたりだろうか。

 落ち着いた色のパンツと前開きの長袖シャツを着こなし、ただ立っているだけだというのに上品な物腰であると認識出来る。

 なんだ、男か……。

 勇介は残念そうに見知らぬ男を見つめた。

 綺麗な人だなんて言うものだから、女性なのだと決めつけていた。

 でも、確かに美人だ。