「そうね。幸福の基準はそれぞれだわ。私が言えるのは、そうして維持をし続けられる世界は素晴らしいということかしら」

「あ」

 そうか、そうとも言えるんだ。

 いつでも常に物が溢れている環境にいるせいで忘れそうになる。

 それが幸福という訳じゃないけど、見えていても見えていない所があるのかもしれない。

「エルミ」

「ん?」

「ありがとう」

 それにエルミも笑顔で返す。

 勇介はやはり諦めきれず、見たことの無い相手に再びライバル心を燃やした。

 相手にとっては、はた迷惑な話だ。