SCHUTZENGEL ~守護天使~

「次は、君が魔王だ」

「なにを言っ──」

 驚いたルーインは言葉を詰まらせ、横たわる勇介とデイトリアを交互に見やった。

 ゆっくり考えている時間はない。

「手を」

 差し伸べられた手に戸惑いながらもそれに応える。

 その途端、全身の血が逆流するような感覚に襲われ、激しい動悸が短時間続いたあとエネルギーが注ぎ込まれてくるのを感じた。

 膨大なエネルギーに耐えるように強くまぶたを閉じ、流れてくる勇介の意志を読み取る。

「勇介、おまえは……」

 しばらくの沈黙のあと、ルーインは深く息を吐き出して立ち上がった。

「キャステル! 王位は俺に移った。このままで終わるとは思うな。心しておけ」

 声高に宣言し消えていく新たな魔王につられるように、魔物たちも姿を消していく。

 静まりかえった地に残されたかつての魔王は、デイトリアをただ見つめた。