久住は、押し寄せる波のように群を成し大地を覆っている魔物を眺めた。

「大丈夫ですか」

「キャステルこそ」

 一時間ほどまえのこと、地球の大気が大きく揺れた。

 各地の空に幾つもの黒い円が出現し、そこから魔物たちが一斉に攻めて来た。

 予想はしていたものの、空を覆う程の魔物を見て恐怖しない者などいない。

 霊術士たちは生き残りの人々を集めて一人でも多く犠牲を出さないため、力を集結し魔物たちに対抗した。

「勝てる見込みは無いかもしれない。しかし勝てないという確証も無い。心を強く持て、今こそ陽の下でその力を発揮しようではないか。国境を越えた先を私は見たい」

 キャステルは静かにしかし広くそれを伝え、士気を高めよと促した。

 世界を裏から支えていた我らが、今こそ堂々とこの世界を守るのだと胸を張れ。