せめてもの救いは、そのチャンスが百年に一度ということくらいか。

 とはいえ、それがいつも上手くいくとも限らない。

 霊術士たちが阻止してきたというのも理由の一つだ。

 今回は阻止に失敗したが魔族たちが人間を魔王にと計画してから、それが成功した例は片手ほどである。

 遙か昔から人間と魔物はそうした戦いを繰り返してきた。

 それほどに彼ら魔界の者たちにとって人間界は魅力的なのだ。

 だからといってそれを許せる訳もなく。

 百年前に出現した魔王は突如、現れた影に一瞬のうちに消し去られた。

 それが何者だったのかは推測の域を出ないが、少なくとも魔物や魔族とは一線を画(かく)した存在だったのだろう。